息子が夫と一緒にツルゲーネフの短編を読んでいて(音読の練習)、「ナンキンジャケット」という言葉がでてきたそうです。「ナンキンジャケット」って何?と聞かれました。

早速グーグルで調べてみた結果、「ナンキン」とは、南京周辺で作られる黄褐色の木綿布で、清代からヨーロッパに輸出されていたものだとのこと。

https://en.m.wikipedia.org/wiki/Nankeen より。「ナンキン」パンツの例です。

もう少し探してみると、「ナンキン」というけれど、南京というより、江南周辺で生産された木綿のこ総称であるとわかりました。

こちら「乾隆年間廣東貿易における外国產棉花の輸入をめぐって」に詳しくありました。中国では10世紀からすでに綿の栽培がされていたそう。それ以前は絹や麻を着ていたことも知りました)。

18世紀、特に上海郊外などでは、綿花はコメと同じほど栽培されていたとのこと。蘇州には藍染の加工工房も多く、中国国内に流通もしていましたし、広州からヨーロッパへ輸出もされたほどの大きな産業だったようです(輸出されたこれもひっくるめで「ナンキン」と呼ばれていたようです)。

まぁ、そのころの江南の様子を見てみたいものです!蘇州だけでも、染めたりシワを伸ばしたりする職人が2万人もいたそうですよ。

この後、清朝には最盛期と中国の綿産業も、東インド会社の影響で衰退をしていくのでありますが・・・。

布はいまでこそ安く買えますが、近代まではどの世界でもとても高価なものだったことをご存知の方も多いと思います。当時、布で財を成した人たちはどこにでもいたのですよね。

まさかツルゲーネフで「ナンキン」の名前が出てくるとは思いませんでした。今、「砂糖の世界史」という本を読んでいるところなので、このようないわゆる世界商品には興味津々なのでした。

日本から来たばかりの大学生と、昨日はクライミングジムで雑談をしていました(息子は登っていました)。その子は、「ベトナムは物価が安い国だと聞いてきたのに、日本と変わらない!」と驚いていたのです。

全体的にものの値段もあがりましたし、円安も手伝って、去年からの物価は2割ほど上がっているように私は感じています。ローカルな店で外食をしても、値段は上がっているのに量は2割減、という感覚です。一方で、日本車の大きなSUVのほか、メルセデスやBMW、ポルシェをあちこちで見かけます。

ジムの近くに、揚げ春巻ののったおいしいお昼ご飯を売っている屋台のおばあちゃんがいます(なんと呼ぶのか不明)。いつもいるわけではなく、幸運にも会えたときには、一食120円ほどで食べています。おばあちゃん一家は、その近くにあるまっ暗な小さな家に住んでいます。おばあちゃんの仕事を手伝う娘さんは、英語が堪能。小さな男の子を屋台に連れてきていることも。

なんでも値上げで、こういった決して豊かな生活をしているわけではない人たちは特に、一般市民は大変だなぁ、と思うのです。

今住んでいるアパートも、経営規模をどんどん小さくしていて、何棟もあったのが今いる一棟だけになってしまいました。来年はここに泊まれるかどうかもわかりません。というか、またベトナムに来られるかどうかもわかりません。日本でも冬にやりたいことがたくさんありますし・・。

息子が4歳になってから、冬はアジアで過ごすのが毎年の恒例行事となっていました。息子もあと一年で高校は卒業です。来年は何か大きく変わっていく予感がしています。