アトリエ・インドシンでは、質の高い天然素材にこだわって服作りをしています。
■カディ (khadi)
カディ(khadi)は、表情豊かで素朴でもある手紡ぎ手織りの布です。人の手でふんわりと紡がれ織られているため、空気をはらみ、夏は涼しく冬は暖かです。
カディの起源は、インダス文明にまでさかのぼると言われ、数千年に渡りインドの大地で紡がれ、そして織られてきました。
◎自由の象徴
20世紀初めには、英国の植民地支配に抵抗する手段として、ガンジーがカディを通じ独立を促進しました。
当時のインド国内では、英国からの機械織りの安価な布が独占していました。そこでガンディーは、英国製コットンの不買運動を訴え、インド中を歩き回って手紡ぎ手織りのカディの服を自分たちで作って着ることを推奨したのです。
カディはインドの独立運動の象徴でもあり、不可欠なものでした(インドの国旗の中央には、糸車が配されています)。

◎手仕事の布
カディは主に綿で織られていますが、 シルクやウールを含むこともあります。これらはすべてチャルカと呼ばれる糸車を使い、手作業で糸に紡がれます。
手紡ぎされた糸は太さにムラがあるため、機械で織ることができません。職人が微妙な手加減をしながら織り上げます。織機の筬(おさ)にひっかかりやすいため、織る作業には大変な時間がかかります。
極細の糸になると、織り機にかけることすら難しい作業。限られた数の職人のみが織ることができます。
◎カウント数
カディの布の厚みは、カウント数で表されます。糸の太さを表す番数です。
数字が小さい=細い糸で織られたもの、薄いものということになります。
カディカウント100というのは、一グラムの綿を100メートルの長さに手で紡ぎ織ったもの、ということです。カウント数が高くなるほど、薄手となります。600カウントにもなると、国宝級のカディもあります。
当アトリエでは、コットンやシルクのものを中心に、カディカウント56から300くらいのものをつかっています。
◎カディの背景
カディは二酸化炭素排出量と環境への影響が低いことがよく知られています。
資源を大量消費する工業的な方法ではなく、糸紡ぎ→糸巻き→糸引き→機織、この全ての工程が手作業で行われています。
大量生産の機械紡ぎ・機械織りの布に比べ、カディ制作には時間も手間もたっぷりかかり、専門知識のある職人や織り手を必要とします。そのためカディは大量に生産することができず、また価格的にも高価なものとなります。

■麻 (Linen and ramie)
麻の歴史は古く、人類最古の繊維です。
当アトリエでは、リネン(亜麻)や、ラミー(苧麻)を制作に使っています。
リネンの材料であるフラックスは、農薬を使わずに栽培することが可能です。またリネンには、カビを防ぐ性質があること、汚れ落ちが良いこと、自然な光沢があること、綿よりも丈夫で長持ちするという特性があります。ラミーも最高の強度を持ち、繊維が長いため大変細い糸を作ることができます。どちらも吸湿・発散性に優れています
製作には、ヨーロッパ産の最高品質の糸から日本の高い技術で織られた高級リネンを使っています。質の良い糸は、作られる時によく洗いがかけてあるため、チクチクせず滑らかです。
リネンの糸には、ネップと呼ばれる節が見られることがあります。かつては、このネップは質の低さを示していたのですが、現在ではそれがリネンの魅力とされ、最高級リネン糸にも見られるものであります。
リネンもラミーも使えば使うほどなじんで柔らかくなり手放せなくります。使い込んで自分だけの一枚を育てるのも麻の楽しみです。
(渡辺本人のアレルギーのため、リネン系の素材の使用は縮小しております。2020年春追記)

■綿(Cotton)
柔らかくふわふわな日本製コットンガーゼや、3年以上無農薬で育てられた綿花からつくられるインド製オーガニックコットンなども使います。

■ミシン糸とボタン
縫い糸、ボタン付け糸共に、通常は綿100%の糸を使用。ボタンは貝ボタン。
