草木染めはエコ?
草木染めと出会ってから、30年以上経ちます。
ここ何年は、草木染めの作業に疑問を感じながら染めてきました。
それはなぜかというと、
エコであるはずの草木染めには、染め・媒染・洗いのプロセスを通し、大量の水と燃料が必要だからです。
ここ近年の気候変化により、雨が降らずに井戸水が使えず、草木染めの作業も後ろめたい気持ちで進めてきました。
まず、染料を煮だしたり染める作業には、大量のガスを使います。そして、洗いには灯油でお湯を沸かして使います。染めた色が濃くなるまで、これを何度も何度も繰り返して染め重ねるのですから。例えば、藍染なども、染まり上がる工程で、大量の水やお湯を使って洗いをかけます。
草木染めをしている方は、世の中にたくさんいらっしゃいます。しかしながら、その方たちを批判するつもりは全くありません。
化学染料を使う染めに比べれば、草木染めははるかにエコであり、廃液の処理に気をつければ環境負担も最小限で方法ですから。
なんといっても、草木染めの深い色は、化学染料には代え難い、すばらしい色ですよね。私も草木染めを完全にやめられるわけではありません。
エコプリント
草木染めに代わるものはないかと探していて、ある時エコプリントに出会いました。
一般的に「エコプリント」と呼ばれますが、コンタクトプリントといって、植物の色素を布に直接染め付ける方法です。オーストラリアの染色家の著書を読み、ざっくりと方法を学びました。
この方法は、布に植物を配置して糸で巻き上げ、少しの水を使って蒸して色素を固着させます。そのため、染料をぐつぐつ煮だしたり、大鍋の熱湯をグラグラ沸かして染める必要がありません。媒染も大量の水を必要としません。
そして、なにより素晴らしいのは、植物の色素を最大限に無駄なく写しとることができること。草木染めは、どうしても色褪せから逃れられない運命ですが、エコプリントなら濃く染められ、色褪せも自然であると思います。
エコプリントは、さまざまな意味で資源を無駄なく使うことのできる染色方法だと思います。
去年は、試験的に何枚かこの方法で染めてみました。ご好評いただいたのが、大変な励みとなりました。
植物を布に配置していく作業自体も楽しく、一期一会のような植物の色や形との出会いは、とても興味深い経験でした。そして、蒸す時に立ち上がる、ユーカリの深く濃い香りが忘れられません!!
今年も、このエコプリントにぜひとも取り組んでみたいと考えています。

今年の制作
前ポストにて、新たな思いについて 書きました。自分で縫い上げる新しいラインと合わせて、エコプリントにもお付き合いいただければ幸いです!
…
カメラに残っていた、ベトナム滞在の思い出。大好きな蓮の実で、チェー(ベトナムぜんざい)を作ったときのものです(白いのはココナツミルクのクリームです)。
